アパレル事業者の方の中には「ECサイトやSNS用に洋服の撮影がしたいけど、方法が分からない」という方もいるでしょう。そこで今回は、アパレルの基本的な撮影スタイル5つと撮影手順を解説します。興味のある方はぜひ最後までご覧ください!
アパレルの撮影スタイル5つ
アパレルの撮影スタイルには、以下のようなものがあります。
1. 置き画
2. モデルを起用する
3. ゴーストマネキンで撮る
4. ハンガーに掛ける
5. ロゴやデザインに焦点を当てる
一つずつ見ていきましょう。
1.置き画
置き画とは、平面に置いた商品を真上から撮影した写真のことです。
特に
Instagramで人気の撮影スタイルで、簡単におしゃれな写真が撮影できるので、
カメラ初心者の方にもおすすめです。ただ、ECサイトに掲載する場合は、置き画だと実際の着用イメージが湧きづらいので、次に紹介するモデル着用カットもあわせて掲載すると良いでしょう。
置き画については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!
【実例付き】置き画の撮影ノウハウ19選!プロ直伝のおしゃれな撮り方を徹底解説
置き画のメリット
・Instagramで映える写真が撮影できる
・小物を添えるとさらにおしゃれ度アップ
・誰でも簡単に撮れるので初心者にもおすすめ
置き画のデメリット
・サイズ感が分かりづらい
・実際に着用したシルエットを表現できない
置き画の撮影ヒント
置き画の撮影ヒントは以下の通りです。
・明るい場所で撮影する
・あえてシワを作りこなれ感を演出
・構図は三分割構図がおすすめ
上の写真を見ると、写真のフレーム全体が明るくなっていることが分かるでしょう。このような明るい写真を撮るためには、自然光が入る部屋で天気の良い日に撮影するのが良いでしょう。
また、シャツやワンピースの部分は、あえてシワを作りこなれ感を演出しています。
アパレルの撮影は三分割構図で撮影するのがおすすめです。三分割構図については、以下の記事もあわせてご覧ください。
【保存版】写真を上手く撮るための構図15選|構図を活用するポイントもあわせて解説
2.モデルを起用する
アパレル撮影でのモデル着用写真とは、人物モデルが実際に商品を着た姿を撮影した写真です。商品の購入検討者は、生身の人間が商品を使っているシーンを見ることで、他アイテムとのコーディネートやサイズ感、シルエットを知ることができます。
多くのアパレルブランドは「ターゲットとなる顧客」を代表しているモデルを選んでいます。
モデルを起用するメリット
・消費者が商品のサイズ感やシルエットを理解しやすい
・商品の着用シーンを伝えられる
・商品に合うコーディネートを提案できる
モデルを起用するデメリット
・モデルの依頼料が追加される
・カメラマン、モデル、スタジオの日程調整
モデルカットについて知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください!
【モデル撮影】商品写真でモデルカットを撮るための5つヒント!モデルの見つけ方から撮影アイデアまで
マネキン・トルソーを使う場合
「洋服の着用カットを撮りたいけど、撮影の度にモデル費用を払うのは......」という方は、マネキンやトルソーを使うのがおすすめです。
マネキンやトルソーであれば、一度購入すれば都合の良い時に撮影できます。また、時間をかけて洋服を調整できるというメリットもあります。
マネキンやトルソーを使うメリット
・モデルを起用するよりもコストを抑えることが可能
・日程調整が不要でいつでも撮影できる
マネキンやトルソーを使うデメリット
・ポーズを作りにくい
・屋外で撮れない
・マネキンやトルソー自体が写真に写る
以下の動画では、男性向けオーダースーツのトルソーを使った撮影方法を解説しています。
3.ゴーストマネキン写真
ゴーストマネキン写真とは、マネキンを使いアパレル商品を撮影した後、マネキン部分を画像編集で削除した商品写真のことです。
各アイテムの撮影枚数を増やし、Photoshopなどの画像編集ツールで加工すれば、簡単に作成することができます。
ゴーストマネキン写真のメリット
・マネキンやトルソーが写真に映らない
・手の込んでいる印象になる
ゴーストマネキン写真のデメリット
・加工用写真の追加撮影が必要
・Photoshopなど高度な画像編集スキルが必要
・外注する場合は追加料金が発生
アパレル商品のゴーストマネキン写真の作り方
アパレル商品のゴーストマネキン写真の作り方は、以下の通りです。
①まずはマネキンに商品を着用し、正面から撮影
②商品を裏返し後ろから撮影
ここで三脚を使ってカメラの遠近を変えないようしましょう
③Photshopなどの画像編集ツールで、撮影した2つの写真から背景を取り除く
④これらの背景を削除した2つの写真を合成する
4.ハンガーを使った写真
洋服をハンガーに掛けた写真もおすすめです。
ハンガーに掛けるだけなので、コストを抑えることができ、簡単におしゃれな写真が撮れます。
また、不自然なシワが写る心配もないので、ぜひ一度試して見てください!
ハンガーを使った写真のメリット
・コストを抑えることができる
・手軽で短時間で撮影できる
ハンガーを使った写真のデメリット
・安っぽく見える場合がある
・本来のシルエットなどを表現できない
5.ロゴやデザインにフォーカスした写真
商品のロゴや詳細なデザインにカメラを近づけ、接写した写真も良いでしょう。
ECサイトは、実店舗とは違い、洋服のロゴや詳細なデザインまで確認することができません。
よって、ロゴやデザインにフォーカスした写真を追加し、消費者の不安を取り除きましょう。
ロゴやデザインにフォーカスして撮るメリット
・商品の特徴を訴求できる
・消費者のECでの購入の不安を解消できる
アパレル撮影に必要な機材
アパレル撮影に必要な機材は以下の通りです。
アパレル撮影に必要な機材
・カメラまたはスマホ
・三脚
・照明
・背景
・モデル
・マネキンもしくはトルソー
・ハンガー
・アイロンやスチーマー
・レフ板(中級者以上)
それぞれ解説します。
カメラまたはスマホ
撮影にはカメラまたはスマホが必須です。
現在使っているスマホがここ数年に発売されたものであれば、高価な一眼レフを購入する必要はありません。
ただ、より高品質な商品写真を撮影したい場合は、一眼レフなどのカメラを使うのが良いでしょう。
三脚
手ブレを防ぐためにも、カメラやスマホとあわせて、三脚も準備しておきましょう。
アパレルの撮影をする際は、カメラやスマホを三脚で固定し、アングル等を変える場合は服を動かすと良いです。
スマホの三脚であればホームセンターや100均などでも購入できるので、ぜひチェックしてみてください!
照明
自然光が入る部屋があるなら、自然光で撮影するのがおすすめです。
ただ、自然光が入る部屋がない場合は、人工照明機材を使い、商品を照らして撮影しましょう。
ライティング方法については、以下の記事を参考にしてみてください!
洋服を上手に撮影する方法!おすすめ撮影方法から撮影設定・ライティングまで
背景
物撮り・商品撮影初心者の方は、スタンド付きの無地の白い背景紙を購入すると良いでしょう。
アパレル商品の着用カットを撮影する場合は、横3m×高さ6mほどのサイズがおすすめです。
また、置き画を撮影する場合は、商品のサイズに合わせた小さな背景紙でも撮影可能です。背景紙については、以下の記事で詳しく解説しています。
【保存版】物撮り・商品撮影の背景パターン15選|おすすめの背景グッズも紹介
モデル
モデルは、アパレルブランドのターゲット顧客に近い人を採用しましょう。
理由としては、ターゲット顧客から遠いモデルを起用すると、消費者からの共感を得ることができず、着用イメージを想像できないためです。
最近では、モデルの顔を隠したり、商品部分だけを切り取って利用したりと、商品によりフォーカスした着用カットも増えてきています。
体の一部分だけを写すパーツモデルは、全身を写すモデルよりもコストを抑えることができるため、検討してみると良いでしょう。
マネキンもしくはトルソー
マネキンやトルソーを購入する場合の注意点は、変なポーズをしていたり(手を腰に当てたり、片足に重心を置いている)手足が一部ないマネキンは、特別な事情がない限り避けましょう。
特にマネキンに手足がないと、実際に着用した時と異なるシルエットになってしまうことがあるので、注意が必要です。
購入すべきマネキンやトルソー
・まっすぐ立っている(変なポーズをしていない)
・手足が全部付いている
ハンガー
撮影用にハンガーを選ぶ際は、肩部分の幅とデザインを確認しましょう。肩部分の幅が広く、木製または黒色のハンガーがおすすめです。
肩部分の幅が広いと、実際の着用イメージに近いシルエットになり、木製または黒色のハンガーであれば、どんな洋服とも相性が良いです。
自宅にちょうどいいハンガーがない場合は、100均などで探してみましょう。
アイロンやスチーマー
アイロンやスチーマーは、撮影前にアパレル商品のシワを伸ばすために使います。
洋服のシワは、撮影後のレタッチ作業で削除できますが、事前にシワをなくしておけば、そうした手間を減らせるのでおすすめです。
レフ板(物撮り中級者以上)
自然光でも人工光でも、一方向から光を当てると影や暗い部分ができてしまいます。
その対策として、レフ板や白い厚紙などで光を反射させ、アパレル商品全体を明るくします。
使い方としては、商品の左右に置くまたは商品を挟んで光源の反対側に置くと良いでしょう。
アパレルの撮影手順
続いて、アパレルの撮影手順をご紹介します。
洋服についたシワや糸くずをとる
まず、撮影する前に、洋服についたシワや糸くずを取り除きましょう。
シワを伸ばす際はアイロン、糸くずをとる際はくず取りテープを使うのがおすすめです。また、タグやステッカーを剥がしても良い場合は取り外しておくと良いです。
事前にこうしたメンテナンスをすることで、後から画像加工をする必要がなくなるので、必ず行いましょう。
撮影スタジオを作る
自宅やオフィスでの自作の撮影スタジオの作り方を紹介します。
いずれの場合も自然光が入る明るい場所もしくは人工照明を置くスペースがある場所に設置しましょう。
撮影スタンドを使う場合
大きな撮影スタンドを使う場合は、上の写真のようにスタンドで背景紙を吊り、湾曲して床に垂らします。
予算が少ない場合は、背景紙を天井や壁にテープで貼り付けても良いでしょう。
置き画
置き画の場合は、床か背の低いテーブルの上に背景紙を置いて撮影すると良いです。
自宅の撮影スタジオの作り方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください!
【自宅で物撮り】商品撮影のアイディア9選と商品ジャンル別の撮影のコツを解説
商品のスタイリングをする
必要な機材や撮影スタジオが準備できたら、モデルやマネキン・トルソー、ハンガーを使って、商品のスタイリングしましょう。
スタイリングは、訴求したいブランドの世界観やイメージにもよりますが、以下の点に注意してスタイリングすると良いでしょう。
・洋服にシワや汚れがないか
・ボタンは留まっているか
・裾や袖、紐は意図した形になっているか
・シルエットは意図した形になっているか
・商品に目がいくか
カメラ・スマホの設定をする
カメラやスマホの設定が間違っていると、画像編集の知識があっても、クオリティの低い商品写真になってしまいます。
撮影環境に合わせて、ISO感度、絞り、シャッタースピード、ホワイトバランスなどを設定するようにしましょう。
カメラの設定
カメラの設定は、ISO感度、絞り、シャッタースピード、ホワイトバランスの4つを設定しましょう。
ISO感度:レンズに入った光をカメラ内でどの程度増幅させるかの指標のことです。アパレル撮影の場合は、600~640の間がおすすめです。三脚を使用すれば、ISO感度を100や200に保つことができるため、より鮮明でシャープな写真を撮ることができます。
絞り:レンズに入る光量を調整する指標のことです。アパレルの物撮りであれば、絞りはF8~F11の間に設定します。これにより、アパレル商品全体にピントを合わせた撮影が可能になります。
シャッタースピードは、カメラのシャッターが開いている時間を指します。1/125前後のシャッタースピードが理想的です。
ホワイトバランスとは、撮影環境での光の色の影響を補正する機能です。光源が自然光、蛍光灯、LEDのどれか等によって設定は異なるため、実際に撮影し実物の色と写真に映った色味を見比べてホワイトバランスを調整しましょう。
スマホの設定
スマホ(特にiPhone)の場合は、カメラのように細かな撮影設定はできませんが、基本的にはカメラアプリの自動調整に任せましょう。
しかし、画質が落ちたり色味が変わってしまうため 、以下の3つは避けるようにしてください。
・ズームを使う
・インカメを使う
・フラッシュを使う
撮影
アパレル撮影の際は、同じアイテムでもアングルを変えて撮影したり、カメラの設定を変更して、写真を保存しておきましょう。
多くのパターンを撮っておくことで、撮影後にスマホやPC上で画像を比較でき、撮り直しなどを防ぐこともできます。
レタッチをする
レタッチとは、プロの物撮りカメラマンであれば必ず行う画像編集のことです。
レタッチをする際は、以下のような作業を行うことが多いです。
トリミング
撮影した写真を1:1(正方形)や16:9(長方形)などにするために、写真の上下左右を切り取る作業をトリミングといいます。
Amazonや楽天市場などのECモールや、InstagramなどのSNSに商品写真を掲載する場合、各プラットフォームの画像規約に合った写真サイズに加工する必要があります。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください!
【2024年】Amazonの商品画像ガイドラインを徹底解説|サイズや設定のコツも
【2024年】楽天市場の商品画像登録ガイドラインと売れるポイントを解説|AmazonやYahoo!ショッピングとの違いも
【保存版】BASE・STORES利用者向け!商品撮影の方法やコツを解説
色味
アパレル商品の本来の色味になるように、写真の色味を調整します。
撮影時に気をつけていても、撮影環境によって商品の色合いは変わってしまいます。
商品写真の色味と実物の色味が違うと、クレームにつながることもあるので、必ず実物に近い色味にするようにしましょう。
背景削除
Amazonや楽天市場などのECモールの商品画像規約では、背景の削除が必須とされている場合が多いです。
そのため、撮影した商品写真から背景部分を切り取り、完全な白か透明にする白抜き作業を行います。
白抜きの手順については、以下の記事でご紹介しています。
白抜き・白背景の写真とは?必要な機材や撮影手順、写真編集ツールまで徹底解説
アライメント
アライメントとは、各アイテムの商品写真の商品の大きさや配置、角度を合わせる作業のことです。
ECサイトでアパレル販売をする場合、アライメントをすることで、商品写真に統一感が生まれるのでおすすめです。
アイテム別のおすすめ演出
最後に、アイテム別のおすすめ演出をご紹介します。
洋服
まずは洋服のおすすめ演出について解説します。
トップス
トップスの商品撮影は、モデルを起用した着用カットがおすすめです。
前述したように、モデルカットであれば洋服の着用イメージを伝えることができ、さらに他のアイテムとのコーディネートも紹介できるのでおすすめです。
また、モデルカットは場所関係なく撮影できるため、スタジオだけでなく、街中や建物の前などで撮影したりと、表現の幅も広いです。
また、トップスを置き画で撮る場合は、複数のアイテムを並べたり、商品に影やシワをあえてつけると良いでしょう。
トップスの中でもTシャツを販売している方は、以下の記事もあわせてご覧ください!
Tシャツの魅力を引き出す物撮り方法 | モデル・平置き・吊るし撮影の使い分け
ボトムス
ボトムスも、トップスと同様に、モデルカットで撮影すると良いでしょう。
特にパンツはシルエットが購入の決め手になるので、モデルを起用して撮るのがおすすめです。
また、ボトムスのボタンやポケット部分にこだわりがある場合は、そこにフォーカスするのも良いです。
靴
靴・スニーカーにおすすめの演出は、靴箱を使うことです。
外箱や包装にこだわっているメーカー・ブランドも多いため、そのこだわりと商品を同時にアピールできます。
【靴の撮り方】インスタ映えアイデア21選|自宅での撮影方法やアイテム別の撮り方も解説
帽子
帽子は、商品写真ではサイズ感が分からないため、モデルを起用した着用カットが良いでしょう。
上の写真のように、帽子をかぶったモデルを後ろから撮影すると、帽子のデザインがよく見えるのでおすすめです。
バッグ・かばん
バッグ・かばんは、テグスという透明な紐で吊るして撮ったり、バッグの内側を撮るのがおすすめです。
また、バッグの中に他のアイテムを入れて、どのくらい物が入るのかをアピールするのも良いでしょう。
【バッグ・かばんの撮り方】おしゃれな撮影アイデア13選と自宅での撮影方法を紹介!種類別の物撮りヒントも
メガネ
メガネ・サングラスの撮影は、置き画が良いでしょう。背景は白や黒、グレーが撮影しやすいです。
一方で、メガネ・サングラスは反射や映り込みが発生しやすく、難易度が高いため、プロへの依頼を検討しても良いかもしれません。
自分で撮影したいという方は、ぜひ以下の記事を参考にチャレンジしてみてください!
【保存版】メガネを上手に撮影する方法とは?必要な機材や撮り方のコツ4つを紹介
おしゃれで映えるアパレルの撮影は「TORUN」にお任せ
この記事では、アパレル商品の撮影方法について解説しました。今回紹介したテクニックを活用すればプロ級の撮影ができるでしょう。
しかし、自分で撮影する場合、ある程度の時間やコストがかかりますし、商品の素材によっては難易度が高くなるため、プロの撮影会社に依頼するのも良いでしょう。
▼TORUNの紹介動画
関連ウェビナー
アパレル商品の撮影事例
【アパレル】C-MENTAL様の商品撮影事例紹介&インタビュー
【Amazon商品画像】ブルーグース様の商品撮影事例紹介&インタビュー